想定読者
自社サイトの集客や改善を担当する経営者・担当者の方です。競合のサイトが気になりつつ、何をどの頻度で見ればよいか決められず、気が向いたときに眺めるだけで終わっている方に向けて書いています。
要点
- 競合は「顧客が比較する相手」を基準に3〜5社へ絞り、検索結果で自社と並ぶ相手も加えて選ぶ
- 月1回・60分で見る項目をチェックリストで固定し、同じ型で記録して前月との変化を比べる
- 観測の目的はまねることではなく、差別化と自社の抜けの発見。記録は「気づき→自社の対応→担当と期限」に落とし、翌月に結果を確かめる
なぜ「たまに眺める」だけでは改善につながらないのか

競合のサイトを、気が向いたときにのぞいてみる。多くの現場で、競合調査はこの形で始まり、この形のまま続いています。
見たときは「このページは見やすい」「こちらは更新が活発そうだ」と何かしら感じるものの、その感想は数日たつと薄れ、自社サイトの改善には何も反映されないままになりがちです。
この記事では、競合サイトの観測を「月1回・60分・同じ型」に固定する方法をご紹介します。特別なツールや専任の担当者がいなくても続けられる範囲に絞ってあります。
そして、観測の目的は競合を「まねる」ことではありません。自社ならではの打ち出しを決める「差別化」と、自社が伝え忘れている点を見つける「抜けの発見」のために使います。
気が向いたときの確認で起きる3つの問題

不定期な確認には、次の3つの問題が起こりやすくなります。
- 比較軸がぶれる:ある日は料金のページを見て、別の日はデザインの印象だけを見る、というように、毎回見る場所が違います。そのため、前回との比較ができません。
- 変化に気づけない:競合がトップページの訴求を変えたり、新しいページを追加したりしても、前の状態を覚えていなければ「変わった」と判断できません。
- 記録が残らない:頭の中の印象だけでは、社内で共有することも、半年後に見返すこともできません。担当者が替われば、観測の経験ごと失われてしまいます。
この3つは、気合いや熱意では解決しません。見る項目と記録の型を先に決めておくことで、はじめて解消できます。
定点観測の目的は「まねる」ことではなく「差別化」と「抜けの発見」
競合のサイトを見ていると、つい「うちも同じようにしよう」と考えたくなります。けれども、同じ構成や同じ言い回しにそろえてしまうと、顧客から見て自社を選ぶ理由がなくなります。
競合の文章や画像をそのまま使うことは、著作権の面でも避けるべきです。
定点観測で見たいのは、次の2点です。
- 差別化:競合が言っていないことのうち、自社が言える強みはどれか
- 抜けの発見:競合の多くが載せているのに、自社だけ載せていない情報はないか
つまり競合サイトは、真似をする見本ではなく、自社サイトを映す鏡として使います。
また、見てよいのは公開されている情報だけです。ログインが必要なページや、非公開の資料を手に入れようとする行為は観測に含めません。
月1回・60分に絞る理由と、担当者が1人でも続けられる範囲

観測を毎週や毎日にすると、数か月で負担が大きくなり、やめてしまいます。
逆に年に1回では、変化が積み重なりすぎて、何が起きたのか追えません。月1回なら、競合の動きを追うには十分な間隔で、担当者が1人でも続けられる負担に収まります。
60分の目安は、時間内に終わる範囲で競合3〜5社を見て、最後に気づきの整理の時間を取るイメージです。
時間内に終わらない項目は、無理に深追いせず、翌月に回して構いません。続けることのほうが、1回の完成度より大切です。
観測する競合の選び方|3〜5社に絞る3つの視点
競合を多く並べるほど、見る時間は増え、記録も薄くなります。最初は3〜5社に絞るのが現実的です。
選ぶときは、次の3つの視点を使います。
顧客が実際に比べている相手と、検索結果で自社と並ぶ相手
まず「顧客が実際に比較している相手」を入れます。商談や問い合わせの場で「ほかにも検討しています」と名前が挙がった会社、あるいは営業の担当者が「よく比べられる」と感じている会社です。
自社の感覚で「同業だ」と思う相手と、顧客が比べている相手が、一致するとは限りません。
次に、検索結果で自社と並んで表示される相手を加えます。自社が狙う言葉で検索し、上位に出てくるサイトを確認してください。
例えば、ある店舗が「地域名+サービス名」で検索したとき、自社が考えていなかった別業種の店が上位に並んでいることがあります。
顧客はその画面で比較しているので、その相手も観測の対象になります。
目標にしたい相手と、動きが速い新規参入の相手を1社ずつ入れる

3〜5社の中には、役割の違う相手を1社ずつ入れておくと、見える範囲が広がります。
- 目標にしたい相手:規模や実績で自社より先を行っている会社です。まねるためではなく、将来どんな情報を整えておくべきかを知る手がかりになります。
- 動きが速い新規参入の相手:始めて間もないのにサイトの更新が活発な会社です。新しい打ち出し方や、顧客の関心の変化に早く気づけます。
残りの枠は、前述の「顧客が比べる相手」「検索で並ぶ相手」で埋めます。
競合リストの見直し時期(半年に1回)と、観測対象から外す基準
競合リストは、一度決めたら固定ではありません。半年に1回、リストそのものを見直します。毎月見直すと基準が定まらず、前月との比較ができなくなるためです。
観測対象から外す基準の例は次のとおりです。
- 顧客との商談や検索結果で、名前を見かけなくなった
- サイトの更新が長期間止まり、比較の材料が得られない
- 事業の方向が変わり、顧客の取り合いにならなくなった
外した枠には、その半年間に新しく目についた相手を入れます。入れ替えた日はメモに残しておくと、のちの比較で混乱しません。
月1回見る項目と記録の型|チェックリストで観測をそろえる
観測を続けるには、「何を見るか」と「どう残すか」を先に決めておくことが欠かせません。ここでは、見る項目と記録の型をそろえます。
見る項目:掲載内容・料金表示・更新頻度・検索での見え方・使いやすさと信頼表示
月1回の60分で見る項目は、次の5つに絞ります。項目を増やしすぎると続かないので、最初はこれだけで十分です。
| 項目名 | 何を見るか | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 掲載内容 | 強みの打ち出し | 変化を一文で書く |
| 料金表示 | 目安や考え方の有無 | 載せ方を分類する |
| 更新頻度 | 新着や記事の追加 | 追加ページを書く |
| 検索での見え方 | 狙う言葉での表示 | 並び順をメモする |
| 使いやすさと信頼表示 | 導線・実績・連絡先 | 気づきを一言で書く |
それぞれの見方を補足します。
掲載内容は、トップページや主要なサービスページで、どんな言葉で何を訴えているかを見ます。見出しの言い回し、強調しているメリット、対象にしている顧客層などです。
前月と比べて、訴求の軸が変わっていないかを確かめます。
料金表示は、金額そのものを写し取ることが目的ではありません。「料金を載せているか」「目安だけか」「考え方(何にいくらかかるか)を説明しているか」など、載せ方の違いを分類します。
他社の価格を自社の価格づけにそのまま流用することは避けてください。
更新頻度は、お知らせやブログ、事例などの追加状況を見ます。件数を厳密に数える必要はなく、「今月は新着が増えた/増えていない」の変化が分かれば十分です。
検索での見え方は、自社が狙う言葉で検索したとき、競合がどのように表示されるかを見ます。タイトルや説明文の書き方、上位に並ぶ顔ぶれの変化などです。
検索結果は、閲覧する人や場所、時期によって変わることがあるため、記録は「前月と比べた並びの傾向」にとどめるのが無難です。
使いやすさと信頼表示は、問い合わせまでの導線の分かりやすさ、スマホでの見やすさ、実績・お客様の声・運営者情報などの掲載を見ます。
顧客が安心して連絡できる材料がそろっているかという観点です。
記録の型:1社1行の記録表と、スクリーンショットの保存ルール

記録は、表計算ソフトなどに「1社1行」で残します。毎月同じ列で書き足すことで、変化がひと目で分かります。
| 列の名前 | 書く内容 | 例(架空) |
|---|---|---|
| 日付 | 観測した日 | 月初の観測日 |
| 競合名 | 対象の会社名 | 競合A |
| 項目 | 見た項目 | 料金表示 |
| 前月との差 | 変わった点 | 目安の記載が増えた |
| 気づき | 自社への示唆 | 自社は考え方が未掲載 |
セルの文章は短くしておくと、あとで読み返しやすくなります。詳しい補足が必要な場合は、表の外にメモ欄を設けて書きます。
スクリーンショットは、変化の証拠として役立ちます。次のルールを決めておくと、迷いません。
- 保存するのは、各社のトップページと主要なサービスページの画面
- ファイル名は「日付_会社名_ページ名」の形でそろえる
- 月ごとのフォルダに分けて保存する
- 社内の振り返りのための保管にとどめ、外部に公開したり、自社の資料にそのまま転載したりしない
画面を保存するのは、あくまで前月との比較のためです。競合の文章や画像を自社のサイトや資料に流用しないでください。
観測項目のチェックリスト(見る前・見ている間・見たあと)
観測の当日に、やり忘れや抜けが出ないよう、チェックリストを使います。毎回同じ手順をなぞるだけで、記録の質がそろいます。
競合サイトの月次観測チェックリスト
見る前
- [ ] 競合リストと観測日を確認した
- [ ] 前月の記録表を開き、比べる準備をした
見ている間
- [ ] 各社の掲載内容と訴求の軸を記録した
- [ ] 料金表示の載せ方を分類して記録した
- [ ] 更新頻度として、追加されたページの有無を記録した
- [ ] 狙う言葉での検索結果の見え方を前月と比べた
- [ ] 使いやすさと信頼表示の気づきを記録した
見たあと
- [ ] 気づきを「同じ点」と「自社だけの点」に仕分けた
- [ ] 改善案に担当と期限を記入した
記録を自社の改善に結びつける|差別化と抜けの発見
観測は、記録して終わりではありません。記録を「自社の次の一手」に変えるところまでが定点観測です。
記録は「気づき→自社の対応→担当と期限」の3点に落とします。
「同じことを言っている点」と「誰も言っていない点」に仕分ける
まず、各社の掲載内容を並べ、次の2つに仕分けます。
- 同じことを言っている点:複数の競合が共通して載せている内容です。顧客が当たり前に期待している情報だと考えられるため、自社に載っていなければ「抜け」の候補になります。
- 誰も言っていない点:どの競合も触れていない内容です。自社が言える強みであれば、「差別化」の切り口になります。
仕分けたら、自社サイトと照らし合わせます。「競合の多くが載せているのに、自社にない」ものは、優先度を高くして拾います。
反対に、「自社だけが言えて、顧客にも意味がある」ものは、より目立たせる候補です。
抜けを見つける例

例えば、ある制作会社が観測したところ、競合の多くがサービスの流れ(相談から納品まで)を図で説明していたとします。
自社のサイトにはその説明がなく、問い合わせフォームだけが用意されていました。この場合、顧客は「頼んだ後にどうなるのか」が分からず、問い合わせをためらっているかもしれません。
そこで記録表には、次のように書きます。
- 気づき:競合の多くが依頼後の流れを説明している
- 自社の対応:サービスの流れを説明するページを追加する
- 担当と期限:担当者名・翌々月の月末
このように「気づき」を「誰がいつまでに何をするか」まで落とすと、観測が改善に変わります。
差別化の切り口を決める例
次に、差別化の例です。ある店舗が観測したところ、同業の複数社が料金の目安を載せていなかったとします。
自社だけが「何にいくらかかるかの考え方」を載せれば、他社と違う安心感を示せるかもしれません。例えば、問い合わせの内容が「料金はいくらですか」という漠然とした質問から、「この条件ならどの程度ですか」という具体的な相談に変わる、ということも考えられます。
ただし、これは「そうなるかもしれない」という仮説です。実際に結果が出るかどうかは、翌月以降の観測で確かめる必要があります。
切り口を決めたら、変更の内容と日付を記録しておき、問い合わせの内容や数に変化があったかを振り返ります。
優先順位は、次の順に考えるとよいでしょう。
- 顧客の不安に直結する抜け(料金、流れ、連絡先など)
- 自社だけが言える強みの打ち出し
- 見た目や使いやすさの細かな調整
翌月の観測では、前月に決めた対応が実施されたか、どんな変化があったかを最初に確かめます。ここまで回って、はじめて定点観測が改善の仕組みになります。
定点観測でやりがちな失敗と注意点

月次の観測を始めると、次のような失敗が起こりやすくなります。あらかじめ知っておくだけで、避けやすくなります。
数字や文面の流用:競合が載せている数字や文章をそのまま自社に写すことは避けてください。著作権の問題があるだけでなく、顧客から見て自社の独自性が失われます。
「まねるためでなく、差別化と抜けの発見のために使う」という原則に戻りましょう。
項目の増やしすぎ:あれもこれもと見たくなりますが、項目が多いと60分に収まらず、翌月から続かなくなります。
追加したいときは、既存の項目を1つ減らす、あるいは半年に1回の見直しのタイミングで入れ替える、といった形で調整します。
1か月の変化で施策を覆す:競合が1か月だけ訴求を変えたからといって、自社の方針を大きく変える必要はありません。
変化が数か月続いているか、顧客の反応に結びつきそうかを見てから判断します。1回の観測は、判断材料の一つにすぎません。
非公開の情報に踏み込む:見てよいのは、誰でも閲覧できる公開情報だけです。会員向けのページへ別の名前で登録して入る、といった行為は観測に含めません。
最初の1回を実施するための準備
最初の1回は、次の準備をしておくとスムーズです。
- 競合リストを3〜5社分、仮で作る
- 記録表の列(日付・競合名・項目・前月との差・気づき)を用意する
- スクリーンショットの保存フォルダを作る
- 次回の観測日をカレンダーに入れる
最初の月は「前月との差」が空欄になりますが、それで構いません。最初の記録が、翌月の比較の基準になります。
観測の補助にWebRepo(ウェブリポ)を使う
ここまで、人の目で見て記録する方法をご紹介しました。
一方で、検索での見え方を複数のキーワードで確かめたり、サイトの技術的な状態を比べたりするのは、手作業では手間がかかります。
そうした部分の補助として、当社が提供しているSEO・AIO診断ツール「WebRepo(ウェブリポ)」を使う方法があります。
WebRepoでは、次のようなことができます。
- 検索順位の計測:狙っているキーワードの順位を、最大100位まで、地域を指定して計測できます。複数のキーワードをCSVでまとめて登録でき、プロジェクト単位で定点観測が可能です。結果は色分け表示とCSV出力に対応しているので、月次の記録表に転記しやすくなります。
- AIO診断・一括診断:サイトの状態を診断項目に沿って確認できます。診断の所要時間は数分です。
- 競合比較:自社サイトと競合サイトをAIO基準で比較します。16項目の勝ち負けを○△×で表示し、総合スコアを集計します。提案資料として印刷もできます。
使い方の流れとしては、月次の観測の中で検索順位や競合比較の結果を確認し、その数値や○△×を記録表の「前月との差」「気づき」の欄に転記します。
人の目で見る部分と、ツールに任せる部分を分けることで、60分の中でより多くの項目を押さえられます。
ここで注意していただきたいのは、競合比較は「AIO基準」での比較であり、料金表示や掲載内容の質まで自動で比べるものではない点です。
訴求の軸の違いや、料金の載せ方、顧客の不安に応える情報があるかといった判断は、月次の人の目での観測が欠かせません。
WebRepoは、人の観測の代わりではなく、補助として活用するものです。
そのほか、次の点もご案内しておきます。
- お客様専用のアカウントが発行され、ご自身でログインして利用します
- 制作・運用サービスとは独立して契約でき、他社が制作したサイトも診断できます
- CMSの種類は問いません
- 診断のあとの改善もご依頼いただけますが、事前のヒアリングと承諾、SSHやFTPアクセス権のご提示が必要です
詳しい内容や診断・導入のご相談は、こちらのページからご案内しています。
(出典:WebRepo(QuadCom))
まとめ|最初の1回を実施するために
競合サイトを気が向いたときに眺めるだけでは、比較軸がぶれ、変化に気づけず、記録も残りません。この記事でご紹介した流れを、あらためて整理します。
- 競合は、顧客が比べる相手と検索結果で並ぶ相手を軸に、3〜5社へ絞る
- 月1回・60分で、掲載内容・料金表示・更新頻度・検索での見え方・使いやすさと信頼表示を同じ型で見る
- 記録は1社1行で残し、「気づき→自社の対応→担当と期限」に落とす
- 競合リストは半年に1回見直し、翌月に前月の対応の結果を確かめる
そして何より、観測はまねるためではなく、差別化と抜けの発見のために行うものです。競合の文章や画像は使わず、見るのは公開されている情報だけにとどめてください。
まずは、今月中に最初の1回を実施してみてください。競合リストの仮作成と、記録表の準備だけでも、定点観測の入り口になります。
検索順位や競合比較のような数値の確認を補助したいときは、WebRepoのような診断ツールを組み合わせるのも一案です。
(出典:WebRepo(QuadCom))























