最近、「デジタルマーケティング」という言葉をよく耳にするようになりました。
「それって、Webマーケティングのことじゃないの?」とか「うちの顧客はデジタルとか興味ないし」など、様々な勘違いが行き交うのをよく耳にします。今回はデジタルマーケティングの概要や通常のマーケティングとの違い、なぜ注目されているのかなどを紐解いていきます。
この記事のインデックス
顧客との接点を考える
マーケティング用語に「タッチポイント」という言葉があります。
ひとことで言えば、「顧客と企業との接点」という意味ですが、店頭や営業、展示会等で物理的に接するケースと広告やSNS、Webで接することも含まれます。
当たり前のことですが、顧客があなたの会社のサービスを認知してくれなければ、購入どころか興味も抱いてくれません。現代では顧客は必ずしもリアルにいるとは限りませんから、積極的にあらゆるタッチポイントを増やしていかなければ、認知度を高めることはできません。
大量生産、大量消費の時代は過ぎ去った
市場に並ぶものが少なく、選択肢も少なかった時代は、大量生産と大量消費を前提とした マス・マーケティング が主流でした。この頃は新聞やテレビ、ラジオ、雑誌などのメディアを通して、大きな資本で不特定多数を対象とした施策を繰り広げることが最も有効な手段でした。つまり、特定の市場で大きなシェアを持つ企業が有利な時代でした。
しかし現代では、市場に物が溢れて顧客が「選ぶ側」に立ったといえます。市場には国内の有名な企業が生産しているものだけでなく、あらゆる国のもしくは個人が作り出した商品までもが並んでいます。
インターネット普及が生んだ Webマーケティング
インターネットが普及し、個人があらゆる情報を入手できるようになった90年代には、こうした消費者を取り込むために集客から、商品やサービスの購入までをすべてオンラインで行う Webマーケティング が台頭してきました。
Webマーケティング では、大手のポータルサイトやインターネットショッピングモールが台頭し、そこへ参画することで自社の認知を高める手法、いわゆるWeb広告への出稿やショッピングサイトの開設が主流となりました。
ビッグデータの時代がやってきた
昨今、コンピュータ性能の向上や AI の台頭、そして消費者一人ひとりが常にスマートフォンやタブレットを使用する時代となり、行動履歴や利用履歴など、企業が取得できるデータはさらに増加しました。
ここに CRM 等を使って物理的に顧客と接した履歴を貯め、そこに従来からあるマーケティングによって分析された価値観、趣味嗜好といったものがミックスされ、ビッグデータ が構築されるようになってきました。
さらに、この ビッグデータ はあらゆるデジタルツールを使いこなすことにより、小規模な企業や個人事業主であってもビジネス活用することができる時代になってきました。企業がこういった ビッグデータ を活用することで、「デジタルマーケティング」という新しい手法が確率されてきたのです。
デジタルマーケティングで得られること
そのため、デジタルマーケティングに強い企業になれば、ユーザーとの接点が大きく広がります。
たとえば、デジタルマーケティング で活かせる タッチポイント として、Web、検索エンジン、メールに加え、特にスマートフォンから得られるSNS、アプリ、ポイントサービス、位置情報、IoT、交通、デジタルサイネージ との連携などがあります。
スマートデバイスを活用する
顧客一人ひとりと深い関係性を構築するためには、このような情報を提供してくれるスマートデバイスとの連携が欠かせません。スマートフォンやタブレットなど、デバイスの多様化と普及に関連して、顧客の情報源も検索エンジンやSNS、YouTubeやTikTokなどのWebメディアなど、多様化しています。
また、企業が発信する公式情報よりも、インフルエンサー によるSNSでの発言など、自らが身近と感じられる情報や信頼している情報を判断基準とするケースが増え、企業の思いどおりに購買行動が進展しないことが増えてきています。
ただ、逆にいえば、スマートデバイス は1人1台を利用することが多いため、顧客一人ひとりに最適化したより高精度なマーケティングが進められるようになってきたともいえます。
市場構造は変化している
図のように、以前は最大公約数となる標準品を販売する「マス・マーケティング」を展開しないと、市場性の強いビジネスを展開することはできませんでした。
ニッチな製品は、営業マンが対面でセールスするような市場性の弱いビジネスとなっていました。
しかし、個々がスマートデバイスを持つ現代では、顧客一人ひとりのデータを活用すれば、パーソナライズ前提の「ニッチ戦略」であっても、市場性の強い製品を展開することが可能となりました。
逆に「マス・マーケティング」を展開しても、グローバル化が進んだ現代では既に製品が コモディティ化 しており、市場性の強い製品を展開することは難しくなりました。
つまり、現代の市場性に合わせたニッチ戦略を展開するためにも、顧客一人ひとりに対するマーケティングを実施するための手段が重要だと言えるのです。
市場は交換の市場(標準品の大量生産・大量消費)からつながりの市場(パーソナライズ前提の消費)へと変化しているのです。
こういった市場構造の変化を捉えるため、いま企業経営そのものをDX化していくことが求められています。
そんな経営のDX化についてはこちらを御覧ください。
Webサイトを見直す
まずは自社のWebサイトが スマートデバイス を使用している顧客に認知してもらえるようにすることが重要です。そのためには、Googleが提唱する モバイルファーストインデックス(MFI)に最適化されたWebサイトへリニューアルする必要があります。
詳しくはまた別の記事でご案内しますが、モバイルファーストインデックス(MFI)とは、GoogleがWebサイトのインデックス登録や検索順位決定を行う際に、PCサイトではなくスマホサイトを基準に評価を行う方針のことです。
「なぜ、一企業であるGoogleの方針に従わなくてはならないの?」と疑問に思う方もいらっしゃることでしょう。
それはターゲットにするスマートデバイスの検索エンジンは、ほとんどGoogleが握っているからといえます。身近なところでは、あのYahoo!Japanも2010年にはGoogleの検索エンジンと検索連動型広告配信システムを採用することになりました。
Googleの発表では、既に2015年には検索エンジンを使用するデバイスの比率について、PC端末をモバイル端末が上回ったことになっています。もちろん、Webサイトがターゲットとしているユーザー層の年齢や特性にも拠るところはありますが、モバイルデバイスに最適化されていて困ることはありませんね。
チェックする項目としては
- Webサイトは レスポンシブ対応 しているか(スマートデバイスで閲覧すると自動的に最適化されること)
- 訪問したユーザーは自社がゴールと決めた問い合わせや資料請求、商品カートなどへたどり着きやすくなっているか
- 自社がターゲットとしている検索キーワードでユーザーが訪問してきているか
- Webサイトは自社のターゲットに合った適切なテーマになっているか
コンテンツでアプローチする
「コンテンツマーケティング」とは、Webサイトへ訪れるユーザーにとって価値のあるコンテンツの制作・発信をとおして、見込み顧客のニーズを発見し、購入プロセスを経て、最終的には ロイヤルカスタマー として定着させることを目指すマーケティング手法です。
私たちが運営しているこのサイトは「オウンドメディア」という種類に定義されるのですが、上記のコンテンツマーケティングを実現するための一部のツールとして開設しました。
前述した通り、消費者のニーズは多様化し、これまでのような大規模な広告やマスメディアのみに頼るのは難しい時代を迎えています。
また、消費者へ新たな気付きを与える手法も、広告のみでは信頼を得ることが難しくなってきています。SNSを使った口コミや、ユーザー自らがそのブランドが展開するサービスに共感して支持することが、ビジネスの発展に重要になってきているといえます。
こういったユーザーにシェアしてもらえるようにするには、ユーザーが共感や気付きが得られるコンテンツを発信することが重要なのです。
デジタルマーケティング にはある程度の フレームワーク が決まっていますが、真の目的は「買っていただく仕組みをつくる」ことです。策に溺れず、真の顧客のインサイトを探り、それに伴ったウォンツ(具体的な顧客の欲求)を満たすサービスを発信していきましょう。
コンテンツマーケティング の結果は中々出にくいと言われていますが、これに取り組むメンバーのモチベーションを保つためにも、商談達成や問い合わせ受信に加え、ホワイトペーパー やその他資料のダウンロードを指標にしてあげることが大切です。
また、コンテンツの作成には知恵と工夫が大切です。ユーザーがどのような行動をどのような段階で取るのかを設計する必要があります。
まず顧客との接点をデジタル化する
前述のようなデジタルマーケティングの強みは、様々なチャネルで顧客とのタッチポイントを作り出すことにあります。取得した顧客情報を有効に利用し、チャネルを横断した施策を実行するためには、前提として「顧客情報のデータ化」が必要です。
企業にとって、ペーパーレス化は社会的なニーズに応えるために必要な要素かもしれません。
しかし、それよりももっと大切なことがあります。
それはデジタルマーケティング以前に、大切な顧客には「何かを調べたい」と思い立った瞬間に、自社の営業担当もしくは自社へ問い合わせしていただきたいと感じるのが本心でしょう。
顧客にとって良き相談者になるためには、日頃から顧客の痒いところに手が届くようなお付き合いが大切です。
そのため、日頃から顧客と接しているその瞬間を綿密に記録し、それを必要な担当者へ簡単にシェアすることができたなら、それは企業の顧客戦略にとって大きな力となることでしょう。
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