※この記事のアイキャッチ画像は、DALL·Eで生成しました。
「なぜ営業が必要なのか?」
真剣にそんなことを考えたことはありませんか?
シンプルに答えると、顧客との接点を作るためです。向こうから勝手に接点を作ってくれて、自然に売上が上がっていけば営業は不要です。
では逆に、顧客との接点が構築されていれば営業は不要なのでしょうか?
例えば、既にお取引中の顧客企業(いわゆる元請け企業)があって、常に営業物件が降ってくるような環境であれば、それほど営業マンの腕に責任はないかもしれません。
しかし、そのお取引…今後もずっと続いていく保証はありますか?
無理なスケジュールを押し付けられたり、低粗利で苦しんだりしていませんか?
この記事のインデックス
中小企業が儲からない日本市場
たとえばこの図は、私が以前所属していた会社でよくあった商流構造です。
現場は自分たちがいなければ回らないのにも関わらず、自社に充てられる購入予算は物件の一部だけです。
そのうえ、無理なスケジュールをゴリ押しされたり、ただでさえ低粗利なのに予算は増額せずに手間や部品点数を増やされたりと、絶対に儲からない構造になっています。
そのうえ、現場の社員は過酷な労働環境に立たされ、営業マンは元請けにこちらから交渉する権限さえ与えられません。
これでは優秀な社員を雇っても、十分な報酬を支払うことができず、疲弊して離職者が増えていくだけです。
本来、顧客のニーズを柔軟に捉え、ファブレス で痒いところに手が届く商社は中小企業がなるべきです。ただでさえ日本は欧米と比較して中小企業の割合が多く、実に99.7%の法人が中小企業です。
これらの中小企業が元気になり、顧客ニーズを細やかに叶えるサービス産業として台頭することが、今の日本にとって必要なことだと思いませんか?
営業マンよりも販促に投資すべき理由
営業マンを一人雇うとどのくらいのコストが発生するでしょうか?
そこそこ優秀な人材を雇えば、年収600万ぐらい。社会保険やら手当やらを考えると約1,000万ぐらい必要かもしれません。
雇った社員が常にハイパフォーマーであればいいのですが、なかなかそううまくはいきません。
それどころか、離職しないようにさらに報酬を上げたり、福利厚生を充実したりと、そのコストはどんどん積み重なっていきます。
しかも、できる営業ほど手の内を見せない方が多く、同様のスキルを持った営業を複数育成することは容易ではありません。
インターネットが普及した現代では、顧客は自分が興味を持っていることに関しては、売り手よりも先に情報を仕入れています。情報の密度が高く、営業よりも技術的に詳しい場合も多々あります。
正直なところ、同じ投資ならWEBサイトの充実やパンフレットの作成・配布、その他広報活動をすることに投資した方が、元手を回収できる確率は高いといえます。
そこで大切なことは、顧客が自分で興味を持ち、調べた末に、あちらから接点を作ってくれる「販促の仕組み化」が重要になってくるわけです。
販促手法は時代と共に変化している
以前、多く行われていた販促といえば、テレアポ、訪問販売、ダイレクトメールあたりでした。
しかし、最近の顧客は一方的な売り込みにはあまり興味を持ちません。それどころか、企業イメージを悪化させてしまい、それによって思っているよりも多くの顧客を失っていることがあります。
こういったこちらから一方的に顧客へコンタクトを取る手法を「アウトバウンド」と言います。最近では店舗でも、店員側から顧客へお声がけしないという方針を打ち出している所もあります。
なぜ、そのようなことが起こっているかといえば、それは現代が情報過多の時代であるからです。
顧客は自ら調べようと思えば、手持ちのスマートフォンで何でも調べられます。昔のように、情報をいただくことを「ありがたい」と感じる時代ではなくなっているのです。
テレビをご覧になられる方やそのスポンサーが減っているのも、情報量の少なさやターゲティングの曖昧さから来ていると思っています。
もちろん、デジタル・ディバイドされている方には未だ効果がありますから、「相手によっては効果的」と考えるほうが正しいでしょう。
情報過多の時代にユーザーにとって大切なことは何かといえば、「自分だけのセレクト」という価値なのです。
今の自分にとって、自分の嗜好性だからこそ、今の状況を分かってくれてセレクトしてくれる相手を望んでいます。
今や、嗜好性に沿ってカテゴライズされたセレクトショップがムーブメントを起こしています。これも情報過多の時代を象徴しているのではないでしょうか?
WEB広告を過信してはいけない
電通が発表している2019年の実績によれば、総広告費約6兆9千億円の中で、WEB広告が30%を占めているそうです。
しかしそれにも関わらず、WEBマーケティングを大手の業者やコンサルに依頼して多くの投資をしていても、さっぱり効果が出ないという声をよく耳にします。
あくまでも結果が見えやすいのはサイトへの訪問数であり、必ずしも意図した問い合わせ、購入などの結果(コンバージョン)に結びつくとは限りません。
また、うまく結果が出たとしても、広告を辞めてしまえばまた元通りです。まるでスタミナドリンクでブーストするがごとく、いつまでも投資し続けなければなりません。
ビジネスとテクニカルのノウハウは別物
今や右を向いても左を向いてもそこら中にあるIT企業ですが、ほとんどの企業はビジネス経験が浅い営業マンやコンサルタントが多く、世代的にIT技術は立派でも、あなたの会社の経営戦略にアドバンテージを与えられる人物は少ないと考えるべきです。
それどころか、自社が販売すべき広告や様々な商材の売上を伸ばすことに熱心で、たとえターゲットにその販促手法が刺さっていなくても、自社商材の売上に貢献できればいいと考えます。
また、大手で実績がある企業へWEBマーケティングを依頼すると、年間で数百万〜1千万円程度の物件にはまともに取り組んでくれません。
営業マンを雇う代わりにマーケティング投資するのなら、親身になって経営戦略に寄り添ってくれる経験豊かなマーケターが在籍している中小企業を探すべきです。
もちろん、自社ができないテクニカルを担ってくれるスキルは最低限必要ですが、より大切なことは顧客の表面のみならず、インサイトを見て行動できるビジネスノウハウを持っていることです。
これは自社にマーケティング責任者を配置する場合にも同様のことが言えるでしょう。
マーケティングに必要なのはテクニカルノウハウではなく、もっと泥臭く、もっと思慮深く、IT手法に限らず様々な手法をミックスして結果を出す発想力と行動力なのです。
マーケティング担当者は自社内で育成すべき
よくマーケティングを外注業者へ丸投げしようとする企業がありますが、基本的にマーケティングの指揮系統は自社内に持つべきです。
なぜなら、親身になって自社のビジネスを取り巻く環境と闘ってくれるのはプロパー社員だけだからです。
そしてさらに、WEB制作はここ、「SEO」はここ、広告はここと、それぞれ別々の事業者へ発注するよりも、全体を俯瞰してディレクションし、自社のマーケティング担当者と二人三脚で行動してくれる外注先を選定すべきです。
現在下請けの比率が多い企業であれば、ダイレクトマーケティングは重要な経営戦略であり、会社の未来のための投資なのです。
見えない顧客を少しずつ可視化していく
直接自社から商品を買っていただける顧客は、最初から目の前にいるのではなく、潜在的な状態から少しずつ顔を出していきます。
だからといって、既にニーズが顕在化し、欲しい物が決まっている顧客からは大きな利益は見込めないと考えた方がいいです。この段階では顧客は既に購入するものをある程度決めてしまっているからです。
分かりやすく、一般消費者の購買モデルを例に取ってみましょう。
スマホやネットが普及している現代「顧客は店舗へ来る前から買うものを決めている」と言います。
このことをマーケティングではZMOT(Zero Moment of Truth)といい、2011年にGoogleが提唱しました。
インターネット普及以前は、一般的に次のような購買モデルが提唱されていました。
- FMOT(First Moment of Truth)「店頭での数秒間で購入するかどうかを決定する」
- SMOT(Second Moment of Truth)「実際に商品を使用して良し悪しを判断し、継続購入するかどうかを決める」
- TMOT(Third Moment of Truth)「商品を利用するうちに愛着が高まりリピーターになる」
しかし、情報収集を手元で行えるようになった(ZMOT)現代、購買モデルは次のように変わっていると言われています。
FMOTは店頭とは限らず、スマホの画面で完了します。SMOTは基本的に変わらないですが、他人からシェアされた情報や評価のみで判断することも増えているのが現状です。
特に、安価な商品や消耗品、店頭に出向いても大した情報が得られないと判断した場合、こうなる傾向が強いです。
情報収集を支援するデジタルマーケティング
これは主にコンシューマーの事例ですが、BtoB であっても一個人が購買のきっかけを作ることを考えれば、似たようなフローが考えられるわけです。
そこで、潜在的な初期段階の顧客に興味を持ってもらうために有効なのが、WEBマーケティングというわけです。
そのためには、顕在化している顧客、潜在的もしくは準顕在化顧客をそれぞれ誘導するWEBサイトの設計が重要です。
こういった手法は前述のアウトバウンドに対し、「インバウンド」と言います。
潜在顧客もしくは準顕在化顧客(何となく自分の課題に気がついている人)の場合、いきなり製品を売り込んでも興味を示しません。それよりも、まずは自分の持つ課題が何であるのかに気がついてもらう必要があります。
そして、課題解決への納得感を得た後、プロダクトの情報サイトへたどり着き、比較・検討に入ることになります。
また、顕在化した顧客はそのままでは儲かりませんが、プロダクト情報サイトから How to が掲載された オウンドメディア へ誘導することで、製品に新たな価値を感じたり、自分にとっての別の新たな課題を見出すことができます。
複数のプロダクトを持っているもしくは、他社よりも多機能なプロダクトを持っていることで、顧客はその製品に新たな興味を持つようになります。
「オウンドメディア を作るまではちょっと…」と考えている企業様は、自社製品の変わった使い方やカスタマイズ事例、導入事例など、たどり着いた顧客が別の課題を見つけ出すことができるようなコンテンツを用意できれば良いと思います。こういった手法を「コンテンツマーケティング」と言います。
実際、私自身が Amazon で買い物する際に、ある程度購入する商品を決めていたとしても、似通った別の商品から新たな課題解決を見出すことが多々あります。
最初は安価な商品を買おうと思っていたのに、最終的には全く別の高機能商品を買っていたりするのです。
いずれにしても、実際に使ったユーザーのインタビューや口コミがあれば、営業マンの確保にリソースを割く必要は最小限になるでしょう。
具体的な営業DXを進めるヒントについては以下の記事を御覧ください。
また、WEB・デジタルマーケティング支援について、弊社のサービスをご案内しています。
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