【DXにお困りの企業必見!】業務のデジタル化が進まないのはなぜか?

業務のデジタル化が進まないのはなぜか?〜DX推進とゴールデンサークルの関係性

日本の人口がどんどん減っていること、これは誰もが何となく感じている課題かと思います。
厚生労働省の試算によると、日本の労働人口は2040年までに1,200万人も減少する可能性があるそうです。

つまり、労働人口は20%近くも減ることになるのです。2017年度の日本の生産年齢人口は6,530万人でした。これが2040年度には5,245万人に減ると見られています。

こういった状況において、業務プロセスをデジタル化するという発想はもはやマストであり、それに伴ってビジネスモデルも変更していかなければならないということが分かります。

変わることは不安との葛藤

人は誰しも、変化することに寛容ではありません。
経営陣も言葉では「新しいことにチャレンジしていこう!」と言うのですが、実際に新しいことを持ちかけると「こんなことは過去にやったことがない(常識と異なる)」とか、「過去にうまくいった試しがない(既に自分が経験している)」など、やらない理由をいくつも挙げてきます。

皮肉なことに、過去に成功体験がある立派な人ほど、こういったネガティブな意見をぶつけてくる。

古い設備を入れ替えたいとき、仕事のプロセスを変えようとしたとき、いずれも人はメンタルな部分を優先的に思考する癖があります。

「あの設備は古いけど○○さんのこだわりがある」とか、「○○部長が気に入っているのでそこのプロセスは変更できない」など、必ずといってもいいほど、フィジカルな問題がメンタルな問題へと変換されてしまうんです。

組織人がされて嫌なこと


組織の中の人が、されて嫌なことをシンプルに3つに分けると大抵はこんな感じです。

  1. 目の前の仕事を邪魔されたくない(余計な責任を課せられるのは損失)
  2. 自分の知恵を貸したくない(自分のリソースを取られるのは損失)
  3. 自部門以外に手を貸している余裕はない(余計なことに手間を取られるのは損失)

シンプルにすると、おおよそ精神的に追い込まれていることが見て取れるかと思います(笑)。
では、人はどうしてこんなにもネガティブに追い込まれてしまうのでしょう?

人はフィジカルなことをぶつけるとメンタルで応えるくせに、メンタルを理解することが苦手です。

だから皆、誰もが理解しやすい表面だけを見ようと考えます。
数字やルールというのは、まさにこれを行うためのツールです。

最近の世の中は「効率化」とい使命を全うしようと、人のフィジカルな面をルールや目標だけで捌くことで、他者に対して役割や機能のみを求めるようになってきていると思います。

しかしそれに対して、人は誰しも、自己中心的であると言えます。
そこに役割や機能だけを求め、数字とルールでがんじがらめにしてしまえば、人が精神的に孤立してしまうのは当然なことです。

人を動かす側は効率よく、もれ、ダブリがないようにしたいかもしれませんが、人はコンピュータではありません。

人は誰しも、最終的には自らの行動を自己決定しないとモチベーションが上がらないものなのです。

人は頭・腹・脚の3つのレイヤーで動かす

「あなたはなぜ、来月そこへ旅行に行きたいのですか?」
そう聞かれて、「とにかくそこへ旅行に行きたいから」と答える方は少ないと思います。たとえ答えたとしても本心ではないでしょう。

大抵の方が、「景色が美しいから」「料理が美味しそうだから」「夏休みに家族と行くと楽しそうだから」など、理由となる背景が隠れているのではないでしょうか?

物事には必ず意味があります。つまり、「なにを?(What?)」「どこへ?(Where?)」「いつ?(When?)」には必ず「なぜ?(Why?)」が隠れているわけです。

人を動かすゴールデンサークル

こちらの図は、米国の作家でリーダーシップ理論でよく語られる「サイモン・シネック」が提唱している「ゴールデンサークル」です。

ゴールデン・サークル
ゴールデンサークル

人を動かす偉大な企業や人物というのは、このシンプルなパターンに基づいて行動しているという理論です。

人は大抵の場合、まずは表層にある「WHAT:何をするのか」を見て、「HOW:どうやってそれをするのか」にたどり着きます。

しかし、人を自ら突き動かすためには、まずサークルの一番内側にある「WHY:なぜそれをするのか」からスタートしなければならないという理論です。

マネジメントに慣れている優れたリーダーは、中心から外側に向かって人を動かしていきます。

つまり、「意義や信念」からスタートし、「それを叶えるための手法」を経て、「だから〜をやろう」という順番でたどり着くわけです。

人を動かそうとしたとき、大抵の場合は「これとこれをやってくれ」というところからスタートしてしまいがちなのですが、指示された方は「上司からやれと言われたからやるしかない」といった発想になってしまうのです。

それよりも、「仕事の効率を上げるためにプロセスの変更を考えている」といったWHYからスタートし、まずは考え方に同意、その後で手法を受け入れてもらうという順序の方が自分ごととして捉えられるのです。

部下の立場として、果たしてどちらがやりやすいでしょうか?

「しなければ」から「したい」に変化するプロセス

新しいことにチャレンジするとき、人はまず現状維持を考えます。
その変化が与える影響が大きければ大きいほど、人はまず否定や反抗から入ります。

ですから、まずは「頭」で理解していただくために、「WHY」から説明します。

「なぜ、これまでとは違うやり方をお願いしているのか」
「どうして新しい手法を取り入れて欲しいのか」
「そしてそれに伴ってどんな価値があるのか」
「これらが我々の組織が持っているビジョンとどう繋がっていくのか」

この段階ではまだ「〜しなければならない」つまり「他人事」の段階です。

そこで次の段階では、個人のメリットはどこにあるのかを知っていただくことが大切です。
人間はあくまでも自己中心的だからです。
そしてプロジェクトへ巻き込むことで、このプロジェクトが成功することを自分の目標「自分事」として考え始めます。ここでいわゆる「腹落ち」するわけです。

チャレンジ〜変化〜成長のプロセス
チャレンジ〜変化〜成長のプロセス

その後、周囲からのサポートや激励、手助けを経て、プロジェクトを成功させるためのスキルやリソースを得てもらいます。これが動き出すための「脚」となります。

周囲の手助けやノウハウを得ることで、「やらないこと、人に任せること」も同時に受け入れていくようにしていきます。

人が変化を受け入れ、成長していくまでには必ずこういったプロセスが重要で、これを経ていないプロジェクトは必ずどこかで歪が生まれます。

リーダーの役割は期待や希望を見せること

まとめると、リーダーは仕事を与えるのではなく、意義と考え方、そして個人のメリットを伝える。

リーダーは全体の空気感を伝える
リーダーは全体の空気感を伝える

たとえば、私は花や景色の写真を一眼で撮影することが趣味です。私がその楽しさを人に伝える際に、カメラの機材がどうとか、撮り方がどうとかについては聞かれなければ伝えません。

それよりも撮影した写真を見せて、その空気感や自然との一体感、撮影に出かけた際の爽快な気持ちやエピソード、グルメの話などを伝えます。

そこには人に伝えたい全体的な空気感があって、私はそれを伝えたかったから写真に思いを込めて撮影したんです。

そうやって、伝えた相手に自らそこへ行ってみたいと感じてもらいます。
なぜなら、最も伝えたいこととは、そこにある期待や希望だからです。

少し抽象的になりましたが、仕事についても同じじゃないかなと思います。

誰をどう巻き込むかも重要

プロジェクト遂行のためには、誰をどのように巻き込むかが重要です。
特に新しいことをスタートしようとした場合、周囲は以下のようなタイプに分かれると思います。

この中で最も強力にサポートすべきは誰だと思いますか?
先導役は放っておいても自ら行動するので心配はありませんし、犠牲者や傍観者を無理に口説き落とそうとしても逆効果です。

どんなタイプをどう巻き込むか?
どんなタイプをどう巻き込むか?

ですから、私の経験では強力にサポートすべきキーマンは一番左側の「批評家」です。
批評家は一見すると敵のように見えますが、実はこの中で最も熱い情熱家でもあります。このタイプは自己中に見えて、実は物事を非常に客観的、論理的に考えており、誰より課題感を持っている。
自分が賛同できる解決方法さえ見つかれば、必死にそれを推進してくれます。

批評家を徐々に巻き込んでいき情熱的に動いていただくことで、全体の20%程度は前向きになってくれるでしょう。
まずはその20%からスタートし、徐々に結果を出していくことで他は後からついてきます。

人は社会との関係性の中で生かされている

どんなに優れた人であっても、またどんなに駄目だと感じている人であっても、それはそれぞれの社会との関係性の中で評価されていると言えます。
なぜなら、優れているとか駄目だというのは、実際には他人が決めることだからです。人の価値など、周囲がその人をどう思うかが全てであると言っても過言ではありません。

人は誰しも、自分なりの答えを持ち合わせています。
それはどんな物事に対しても同様です。
ですから、リーダーはできる限り答えを突きつけず、自ら考えてもらう癖をつけてもらうことが重要です。他人が与える答えにはどうしても主観が入ってしまう。

主観はときに無理やり相手を傷つけ、その人が自ら考える自由まで奪ってしまいます。

私は組織を円滑に、そして組織の人間が自分のスキルやリソースを惜しみなく与えてくれる環境を作り出すのがリーダーの役割だと思っています。

人はそれぞれ、考え方が異なるからこそアイデアやルールが生まれ、やがてそれが組織体となって社会が出来上がります。はじめはみんなの考えから生まれたルールや組織が、いつの間にか独り歩きして、まるでそれ自体が最初から目的であったかのようにすり替わっていきます。

つまり、組織や社会は元々人の考え方から生まれているのに、いつの間にか組織や社会が人を縛り付けてしまう。
誰しも見えやすくて分かりやすい数字や結果を断片的に見ることで、それが全体像なのだと勘違いしてしまいがちです。

でも、人は機械やツールではなく、それぞれが独立的に自分の世界を持っている人間なんです。

だから人を動かすのなら、自ら考え、答えを導き出せるように仕向けてあげること。
理解、了解、納得させ、本人が持ち合わせていないものを周囲が「脚」として提供してあげる。

それがマネジメントの基本だと私は思います。

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▼略歴

  • 東京都世田谷区生まれ
  • 学生時代には経営・財務の分野を学び、建設・不動産業界で経理部に在席。
  • 家電メーカーにて直営店舗の運営、マーチャンダイザーを経験。PCのBTOビジネス推進やホームネットワークの普及推進、デジタル家電活用のセミナー講師、直営の免税店を経験。
    同時に、グループ企業のWEBマスターとして、ポータルサイト、eコマースサイトの制作・運営、情報セキュリティマネジメント、ナレッジマネジメントを推進。
  • 家電量販店にて情報部門リーダー、都心店舗の店長を経験。
    その後、店舗開発部で新店舗出店時のレイアウト設計やスタッフの育成、出店準備、VMDの企画・制作などを歴任。
  • システムインテグレーターとして、手術室及び血管造影室の画像・映像配信システムの開発・設計、エンジニアリングを担当。さらに、遠隔手術支援システムの企画・開発を担当し、専門誌へ医師の偏在問題に関する論文を寄稿。
    また、医療向けシステムやフェリーの設備を安全にリモートメンテナンスするソリューションを開発・運用。
    その後、会社のリブランディングプロジェクトへの参画、デジタルマーケティング組織の立ち上げ、メディカル組織のマネジメントを経験。
  • 論文 医師偏在の課題と向き合う遠隔手術支援ソリューション(CiNiiで検索
  • 論文 手術室の生産性向上に貢献する医療映像ソリューション(CiNiiで検索
  • 現在、企業向けにIT技術者育成セミナー(ネットワーク/ウェブデザイン等)を主催しております。