想定読者
2023年頃にChatGPTを一度試してみたものの、その後の進化を追えていない中小企業の経営者や情報システム担当の方を想定しています。社内での本格的な導入や、利用ルールの整備を検討し始めた方に向けて、2026年10月時点の状況を整理しました。
要点
- 2026年10月時点のChatGPTは「Chat(会話)」「Work(作業代行のエージェント)」「Codex(コーディング)」という3つの使い方に分かれ、使えるモデルも場所ごとに異なります。
- 個人向け(Free・Go・Plus・Pro)・法人向け(Business・Enterprise)とも料金体系が整理され、日本円での価格表示や、日本での広告表示も始まっています。
- 業務利用では、入力データが学習に使われるかどうかの設定確認と、過去のトラブル事例を踏まえた社内ルール作りが欠かせません。
この記事は2023年3月公開の記事を2026年10月時点の情報で書き直したもの
この記事は、2023年3月に公開した「ChatGPT」の解説記事を、2026年10月時点の情報にあわせて全面的に書き直したものです。
公開当初の内容との違い
公開当初の記事は、筆者がChatGPTを約2か月使ってみた体験記で、当時の中心モデルであったGPT-3の仕組みや、文章生成・チャットボットとしての使い方を紹介する内容でした。その後、ChatGPTの中身や使い方は大きく変わっています。今回の書き直しでは、当時の記述のうち古くなった部分(モデルの仕様説明、OpenAIの設立経緯、他社サービスとの比較など)を現在の情報に置き換え、2026年10月時点の「製品としてのChatGPT」の姿を解説する記事として構成し直しました。
情報の確認方法
ChatGPTの料金やモデル名は数か月単位で変わるため、本記事の執筆にあたっては、OpenAIの公式サイトやヘルプページ、公式ドキュメントサイトを中心に確認しました。公式サイトを直接閲覧できない場合は、Internet Archive(インターネットの過去のページを保存する仕組み)に保存された2026年9月下旬から10月上旬時点の公式ページを参照しています。公式情報で確認できなかった事項については、本文中で「未確認」と明記し、推測で断定することは避けました。報道などの二次情報を使った箇所も、その旨がわかるように記載しています。
ChatGPTの使い方は3つに分かれた:Chat・Work・Codex

2026年7月以降、ChatGPTは大きく「Chat(ふつうの会話)」「Work(長い作業をこなすエージェント)」「Codex(コーディング専用)」という3つの使い方に分かれました。2023年当時は「チャットで質問して答えをもらう」という使い方が中心でしたが、現在はこの3つを目的に応じて使い分ける形になっています。使えるモデル(AIの頭脳にあたる部分)も、この3つの場所ごとに異なります。
会話用(Chat)の既定モデルは2026年10月時点でGPT-5.6系
2026年10月時点では、通常のチャット画面で最初から選ばれているモデル(既定モデル)は、無料版・Go版がGPT-5.6 Lunaという軽量なモデル、Plus版・Pro版がGPT-5.6 Solというモデルです。テキストでのチャットは無料版でも無制限に使えるようになりました。より新しい「GPT-6」系のモデルも登場していますが、こちらは次に説明するWorkやCodexでの利用が中心で、通常の会話画面(Chat)では使えないという整理になっています。モデルの世代や名称は今後も数か月単位で変わっていくため、本記事では詳しい年表には立ち入らず、「2026年10月時点ではこうなっている」という状況の整理にとどめます(出典:ChatGPT Release Notes(OpenAI)、Models(OpenAI))。
長時間の作業を代行するChatGPT Workとは

ChatGPT Workは2026年7月に登場した機能で、質問にその場で答えるだけでなく、ファイルや連携済みのアプリから必要な情報を集めてきて、文書・表計算・スライド・簡単なWebサイトまで、まとまった成果物を作ってくれるエージェント機能です。人がそばで細かく指示をしなくても、目的を伝えれば複数の手順をこなして作業を進めてくれる点が、従来のチャット応答との大きな違いです。Web版・モバイル版はFree・Go以外の有料プランで利用でき、デスクトップアプリであれば無料版でも制限付きで試すことができます(出典:ChatGPT Work launch(Android Authority))。
コーディング専用Codexとの違い
Codexは、プログラムのコードを書く・直す・テストするといった作業に特化したエージェントです。もともとは2025年にクラウド上のサービスとして始まりましたが、2026年7月以降はChatGPTのデスクトップアプリに統合され、特別なツールを別途用意しなくても使えるようになりました。WorkとCodexはどちらも「作業を代行する」点では似ていますが、Workは文書作成や情報収集など幅広い作業を対象にし、Codexはソフトウェア開発の作業に特化している、という役割の違いがあります。社内で導入を検討する際は、「資料作成や調査を任せたいのか」「開発作業を任せたいのか」で、WorkとCodexのどちらに注目すべきかが変わってきます。
料金プランの現状(個人向け・法人向け)
2023年当時は「無料版」と「月20ドルの有料版(Plus)」というシンプルな2択でしたが、2026年10月時点ではプランの数が増え、価格体系も整理されています。
個人向け:Free・Go・Plus・Proの違いと日本円価格

個人向けには、無料のFree、低価格のGo、定番のPlus、利用量の多い人向けのProという4段階のプランがあります。2026年1月30日以降は、Web経由で新規登録する場合、日本円の固定価格が表示されるようになりました。主な違いを表にまとめます。
| プラン | 月額(税込・円) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Free | 0円 | 広告あり・制限大きい |
| Go | 1,400円 | 広告あり・枠やや拡大 |
| Plus | 3,000円 | 広告なし・Work利用可 |
| Pro(100ドル版) | 16,800円 | Codex利用枠5倍 |
| Pro(200ドル版) | 30,000円 | 利用枠が最大級 |
| Pro(500ドル版) | 未確認 | 最速モデル利用可 |
Pro版は当初月200ドルのみでしたが、2026年4月に月100ドルの簡易版、同年9月には月500ドルの上位版が追加され、3段階になりました。なお500ドル版の日本円価格は、2026年10月時点で公式サイトから確認できていません(出典:Pricing(OpenAI)、円建て料金に関する記事(ITmedia))。既存のドル建て契約者は、いったん解約して再契約することで円建てに切り替えられるとされています。
法人向け:Business・Enterpriseとデータ保存地域
法人向けには、中小規模の組織向けのBusiness(旧称ChatGPT Team)と、大企業向けに個別見積もりとなるEnterpriseがあります。Businessは2025年8月に名称が変更されましたが、機能や価格自体は変わっていません。
| 席タイプ | 月額(1人・ドル) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Standard(月払い) | 25ドル | 基本的な機能一式 |
| Standard(年払い) | 20ドル | 同上・年払い割引 |
| Premium(月払い) | 125ドル | 利用枠5倍・上限なし |
| Premium(年払い) | 100ドル | 同上・年払い割引 |
Premium席は、Standardの5倍の利用枠を持ち、一定時間ごとの利用上限が実質なくなる上位席で、Standardの席と混在させて契約できます。ただし提供開始日の正確な日付や日本円価格は、2026年10月時点で公式情報からは確認できておらず、未確認としています。Enterpriseでは、アクセス権限の管理や利用状況の記録、データを保存しておく期間や地域の指定といった管理機能が用意されており、データ保存地域の選択肢には日本も含まれています(出典:Enterprise privacy(OpenAI))。
無料版・Go版に広告が表示されるようになった点
2026年2月、米国でFree・Go利用者向けに広告の試験表示が始まり、その後カナダ・豪州・ニュージーランド、続いて英国・メキシコ・ブラジル・日本・韓国へと対象地域が広がりました。公式の発表では、2026年8月時点で日本を含む地域での広告表示が始まったことが明記されています。広告は回答の内容そのものには影響せず「スポンサー」と明示され、広告主がチャットの内容や個人情報に直接アクセスすることはない、18歳未満の利用者には表示しない、といった方針が示されています。一方、Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduの各プランには広告は表示されません(出典:Testing ads in ChatGPT(OpenAI))。
業務で使う前に確認すべき注意点
便利になった分、業務で使う前に確認しておきたい点も増えています。
入力データが学習に使われるかどうかの設定

個人向けのFree・Go・Plus・Proでは、初期設定のままだと入力した会話がAIの性能改善(学習)に使われる場合があります。これを止めるには、設定画面の「データコントロール」から該当の項目をオフにするか、プライバシーに関する申請窓口から学習対象から外す手続きを行います。オフにした後に始めた新しい会話が対象になる点、そして学習をオフにしていても回答に「いいね・いまいち」の評価を送ると、その会話全体が学習に使われる場合がある点には注意が必要です。一方、法人向けのBusiness・Enterprise・Eduプランや、プログラムから呼び出すAPI経由の利用では、初期設定で学習に使われない仕組みになっています。業務で社外秘の情報を扱う可能性がある場合は、個人向けプランの設定を必ず確認するか、法人向けプランの利用を検討することをおすすめします(出典:How your data is used to improve model performance(OpenAI))。
過去の情報漏えい・著作権トラブルの実例から学ぶこと
2023年4月には、ある大手電子機器メーカーの技術者が社外秘のソースコードや会議内容をChatGPTに入力していたことが明らかになり、同社は社内での生成AI利用を一時的に禁止しました。入力した情報は社外のサービスに送られて残る可能性があるため、「社外秘の情報は入れない」という基本ルールを社内で共有しておくことが重要です。また、著作権をめぐっては、海外の新聞社がOpenAIを訴えている裁判が続いており、2026年10月時点でも判決は出ていません。ドイツでは2025年11月に、歌詞の利用をめぐってOpenAI側の著作権侵害を認める判決が出ています。日本国内では、コンテンツ関連団体が2025年10月にOpenAIへ要望書を提出し、無断で学習に使わないことなどを求めた動きがありますが、国内で実際に提起された著作権訴訟は今回の調査では見当たりませんでした。こうした動きを踏まえ、生成された文章や画像を外部に公開する際は、既存の著作物と似すぎていないか確認する社内手順を設けておくと安心です。
「もう終了した機能」を今も使えると誤解しないための整理
ChatGPTは機能の入れ替わりが激しく、かつて話題になった機能の中には、2026年10月時点で既に終了しているものが少なくありません。たとえば、AI搭載のブラウザ機能や、チャット内で直接商品を購入する機能、動画生成機能などは、提供が終了しています。回答の横で文章やコードを編集できた「Canvas」も、新しいモデルでは回答内の文章ブロック・コードブロックに置き換わりました。また、特定の目的に特化したカスタムAI(GPTs)についても、2026年9月に廃止の方針が示され、別の仕組みへの移行が進められています。古い記事やネット上の情報を参考にする際は、紹介されている機能が2026年10月時点でも実際に使えるのか、公式のヘルプページなどで確認することをおすすめします。
まとめ・判断基準
2026年10月時点のChatGPTは、単純な会話ツールから、調べる・つなぐ・任せるという幅広い使い方ができる製品に変わりました。業務での導入を検討する際は、まず「会話中心の利用なのか、作業代行まで任せたいのか」で、Chat・Work・Codexのどこに注目すべきかを整理すると判断しやすくなります。料金プランは個人向け・法人向けともに選択肢が増えたため、利用人数や扱う情報の機密性に応じて、Business以上のプランや、学習オフの設定を検討することが現実的な第一歩です。そのうえで、入力データの扱いに関する設定確認と、過去のトラブル事例を踏まえた社内ルールの整備をあわせて進めることで、安心して業務に取り入れやすくなります。






















