※この記事のアイキャッチ画像は、DALL·Eで生成しました。
コロナ禍により、対面で打ち合わせする機会が減りました。
それに伴いリモートワークの導入が進み、今までの社内コミュニケーションの在り方を見直す企業も少なくありません。
コミュニケーションを「手間」と捉えてしまっていいかといえば、それはそれで問題が生じます。
身近なところでは、例えば「新人教育が不十分になっている」や「各々が自分のことしか考えなくなって、連携しにくくなっている」といった問題が聞こえてきます。
ビデオの流し見やショートムービーの盛り上がりも手伝って、昨今では、コストパフォーマンス(コスパ)よりも、タイムパフォーマンス(タイパ)が重要視される時代になってきています。
タイパを上げるためにも、ミーティングパフォーマンスを見直すことは重要であるといえるでしょう。
この記事のインデックス
なぜムダな会議が多くなるのか?
とにかく、会議が多いという会社は珍しくありません。
定期的にランチョンミーティングを開催し、ランチを会議の場にしているという話もよく聞きます。チームにとってコミュニケーションは大切なことですし、会議でお互いの腹の中を知るというのも大切なことは理解できます。
しかし、日常業務を後回しにしてまでも、会議を定期的に開催する意味は果たしてどこにあるのでしょうか?
リモートワークの普及により、それ以外にも、日報、週報、月報からグループウェアへの書き込み、CRMやSFAの入力など、ルーチンワークはますます増加傾向にあるのが現状です。
このような状況でさらに会議を開催するのであれば、目的やゴールはきちんと明確にして欲しいものです。
私はこれまでに、BtoCやBtoBの現場から企画まで、様々な業務をマネジメントしてきました。
特にリテール業務では現場は常にお客様と接しており、そこでいかに迅速に目の前の顧客のベネフィットになることを提示していけるかがポイントです。
情報共有は常にインカムやシステムで記録し、お互いがそれを材料にしてどう行動していくかが売上を決定します。
各情報の優先順位やタイミングを迅速に決断して実行していくのが店長やマネージャーの役割でした。
それもあり、定例会議を実施する際には、できるだけ細心の注意を払って実施してきました。
会議の目的、ゴールを明確にする
参加する会議にモチベーションが持てない理由のひとつとして、各々の参加者が「この会議での自分の存在価値は何か?」をぼんやりとしか把握していないといったことが挙げられます。
参加者が当事者意識を持てなければ、会議中も自分の業務が気になりますし、それでは良質な意見がアウトプットされるわけもありません。
もし、ディスカッションをする必要がない会議ならば、それは一方的な配信でいいのではないでしょうか?
せっかく会議を開催するのであれば、「実施の目的、そしてゴールは何か?」、「その中での自分の役割は何か?」、「事前に何を考えてくればいいのか?」を明確にした方がディスカッションがしやすいはずです。
それを明確にする方法が、時間割のあるアジェンダの共有です。
アジェンダには、必ず会議の目的とゴールを記載します。
これによって参加者は、自分が今優先して取り組むべき業務と会議の意義を比較し、参加するかどうかを決めることができます。
たとえば、会議の目的が現在取り組んでいるプロジェクトの進捗確認に関するものであれば
「目的:◯◯プロジェクトの進捗確認と翌週の行動計画策定」
「ゴール:先週の振り返りと翌週のリカバリ策を共有」
などのように定義します。
会議の時間割を明確に
目安として、週に1回の定例会議なら60分もしくは30分、週に2回の定例会議なら30分ずつが望ましいと言われています。毎日開催するなら10分以内が望ましいと言われています。私は店舗の朝礼を共有事項で5分、ロープレで5分と決めていました。
つまり、多くても週に60分をマックスとして時間設定し、それを各会議にうまく割り当てることが効率アップに繋がるということになります。
図は週1回の定例会議を30分で実施する場合の例です。
まず、伝達事項、進捗報告などの情報共有はほとんどの場合、ディスカッションを必要としません。これを前段の15分以内で済ませます。
後半はディスカッションが伴うだけに、それなりの時間が必要です。主催者はそれを、いかに15分以内で処理するかということに注力します。
もし、発表者が複数存在するのであれば、各々が自分のコマを何分で行うかを明確にしておくとよいでしょう。
これらを実現するために重要になるのが、事前にアジェンダを配布すること、事前に課題を提出してもらうことです。
開催までの準備が大切
まず、定例会議の議題を決めます。
そして、定例会議を毎週木曜日に開催しているのであれば、その3日前に当たる月曜日までにはアジェンダの配布と事前課題の配布(例えば、現時点の進捗報告と翌週の行動予定を報告して欲しいなど)を済ましておきます。
開催前日には前々日に配布した事前課題を収集し、当日別の資料があるのであれば、それを合わせて全員に配布しておくようにします。
また、定例会議で進捗確認を実施するのであれば、更新がリアルタイムに共有されるようなスプレッドシートや営業支援システムを使うと、さらに便利です。
議題を決めるコツ
議題には様々なものが考えられます。
会社がその時に課題としていることもあれば、チーム特有の課題もあるかと思います。
特定の人には重要だと思えても、必ずしも参加者全員が同様にその議題を重要だと感じるとは限りません。
そのため、会社にとって、そのチームにとって優先度が高い議題は何かということを考る必要があります。
このマトリクスは、自分が取り掛かっている仕事の優先順位を付けるためによく使っているものです。
これを使って、仕事の期限と重要度を加味しつつ、優先順位を整理することができます。
たとえば、右上の「期限が迫っていて重要度が高い業務」であれば、すぐにでも議題にすべきであることが分かるかと思います。
しかし、左下はいいとして、他の2つが不要かといえば、そんなこともないかと思います。
たとえば、左上の「期限が迫っているが重要ではない業務」であれば、期限は迫っていても重要度が低いので、議論ではなく相談レベルで、ローンチまでの工程確認や抜け・漏れのチェック表を作成するなどしておくのが良いかと思います。
右下の「期限は先だが重要である業務」に関しては、定例会議に限られた枠を設け、毎回進捗の共有のみ行っておくと良いと思います。もしも進行中にヘルプが必要になれば、そこでさらに別のメンバーをアサインすることができるはずです。
会議の効率性は参加メンバーの意識の高さで決まる
「会議」としてメンバーを招集するのであれば、各々の重要な時間を費やすわけですから、生産性が高くなるよう効率的な会議とする必要があります。そのためにも、会議の参加者を誰にするかというのが重要な条件となってきます。
参加人数は7名まで
参加者が8名以上になってしまう会議では全員の意思統一がなされないことが多く、数値への意識が高く、重要な取組みについて発言するメンバーというのは1〜2名に限られてきます。
また、意見を出す参加者と出さない参加者が出てしまいがちです。
これは「この会議は自分とは直接関係ない」と感じた参加者が、会議での自分の存在価値を見失ったことにより起こることです。
アジェンダの後半の方で、いきなり隅っこの方が会議テーマとは全く別の反対意見を唱えはじめるのも、事前の意思統一が成されていないことで起こる現象です。
厳密に議題を選択し、事前にアジェンダで目的やゴールを設定しておけば、あとは時間割通りにファシリテーションを進めていくだけで会議の目的は達成できるはずです。
それを極力なくすためにも参加者が8人を超える場合は、残りはオブザーバーとして参加していただくことがお勧めです。報告会については大人数でも良いと思いますが、会議は議論の場なので、少人数での開催が望ましいでしょう。
キーマンの参加は必須
キーマンが業務の都合などで会議に参加できないと、せっかく決めた「会議の目的」を達成できない可能性があります。
そのようなミーティングを行わないようにするためにも、事前にキーマンを選出しておき、その方には必ず出席していただくか、その方の都合に合わせて会議招集を行う必要があります。
アジェンダと議事録の活用
アジェンダには時間割が明記されていますので、それを画面に共有しながら会議を進行していきます。
同時に重要なことは、事前に議事録を取るメンバーを決めておくことです。
議事録には様々なツールがありますが、できる限りリアルタイムに全員に共有できることが望ましいです。
なぜなら、議事録を取るメンバーには、新入社員や直接業務には携わっていないオブザーバー的な人を指名することが多いからです。
参加したメンバーが振り返りを行おうとした際に、議事録の意味が分からなかったり、抜け・漏れが多かったりすれば意味を成しません。
まず、無料で使えるツールとしては「Google Keep」があります。
議事録はクラウドに保存されるため、メンバーへ共有するのみで全員がアクセスして閲覧することができます。
アジェンダをGoogleドキュメントで作成・共有しておいて、Google Keepで作成した議事録も会議後にGoogleドキュメントへエクスポートし、同様にライブラリー化することが可能です。
「Google Workspace」を契約中の会社であれば共同作業ができるため、各々のデスクトップ上でリアルタイムに議事録を見たり、修正したりすることができます。
また、リスト機能を使えば、各項目にチェックボックスを設けることができ、お互いに完了したタスクからチェックしてフェードアウトさせたり、復活させたりすることができます。
有償の物であれば、「Dropbox Paper」や「GIJI」がお勧めです。
いずれも、アジェンダから議事録に至るまでを一貫して同システムの中でチーム運用することができるツールです。
「Dropbox Paper」はDropboxを契約していれば追加費用なしで利用できますし、議事録に表を入れたりToDoを入れたり、画像や動画を貼り付けたドキュメントにして簡単にガントチャートのタイムライン上へ載せたりすることができます。
「GIJI」は10名までならフリーで使用することができ、有償プランなら議事録の合意やSlack、Googleカレンダー、Outlookとの連携ができるほか、メンバーの会議回数と会議時間がグラフ化され分析できる機能があります。
この他にも、最近ではAIを使った音声の文字起こしなど、多くの選択肢があります。
生産性を生まない業務をいかに効率化するか
ここまで会議の効率化について書いてきましたが、結局、会議そのものは1円の売上も作ることができません。
一方で、会議が少なすぎるとチームの意思疎通が図れず、業務がスムーズに進行できないといった懸念もあるのが現実です。
こちらは少し以前の市場データですが、20歳~69歳の男女ビジネスパーソンからアンケートを取った、会議の量と業績の関係性を示したデータです。
このデータを見ると「業績が上昇している」と答えた企業は、全体平均よりも会議が社内業務に占める割合が多い傾向となっています。
その反面、「業績が下降している」と答えた企業は、会議1回あたりの平均所要時間や1日あたりの平均参加回数が特筆して多い傾向があることが分かります。
社内業務に 会議が占める割合 | 1回あたりの 平均所要時間(分) | 1日あたりの 平均参加回数(回) | |
---|---|---|---|
業績が上昇(n=346) | 22.7% | 67.2分 | 1.7回 |
業績が横ばい(n=381) | 16.2% | 65.5分 | 1.0回 |
業績が下降(n=122) | 19.1% | 79.5分 | 2.0回 |
全体平均(n=849) | 19.3% | 68.2分 | 1.4回 |
会議の量と業績の関係性
※株式会社ジェイアール東海エージェンシー/株式会社マクロミル:2016年ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査より抜粋
つまり、会議は必要だが、効率化による時間短縮や回数削減が重要だということを示しています。
また、こちらのグラフは「よく実施される会議の種類と業績の関係性」を集計したものです。
これを見ると、「業績が上昇している」と答えた企業は、「意思決定会議」が最も多く、「業績が下降している」と答えた企業は、「情報共有会議」が最も多いことが分かります。「業績が横ばい」と答えている企業にも同様に「情報共有会議」が多い傾向があることが分かります。
※株式会社ジェイアール東海エージェンシー/株式会社マクロミル:2016年ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査より抜粋
私からお勧めする方法は、日頃から情報共有や問題の共有をCRM/SFAなどのツールで密に実施し、個別に聞かなければならないことは1on1で短く済ませ、会議は重要な意思決定のために使うという工夫をすることです。
現場は常にお客様と向き合い、日頃から少しでもお客様のベネフィットを高めることに時間を使ってもらった方が良いことは明確です。
各々の情報が可視化できないのは、現場のスタッフが情報を共有しやすい環境を構築できていないマネージャーや会社に責任があるということを自覚することが大切です。
ツールを選ぶ際には経営側の都合ではなく、できる限り現場が毎日定期的に、そして苦しむことなく使い続けられる物を選択しましょう。
もし、どうしても基幹システムや会計システムを中心に構築したいのであれば、別々のシステムをそこへ連携する方法を模索する方がベストです。同じく費用をかけるなら、システムを統一する部分よりもデータを統合・連携する部分に費用をかけた方が、お互いに最適化されたツールを使い続けることができます。
この ホワイトペーパー では、営業ツール導入のプロセスを明確にし、成功するためのヒントをまとめてあります。ぜひ、ツール導入の際に参考にされることをお勧めします。
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